牙龍 私を助けた不良 上
二人の会話を聞いていると、いつの間にかルナが戻って来ていた。口に小さい紙をくわえていて、俺の前にすっと置いた。
裏返しのそれとルナを交互に見ると、にゃーと鳴かれた。見ろといいたいらしい。
「あら、ルナ。姫ちゃんのお使い?」
『にゃん』
「ルナは賢いですねぇ」
そんな朱里と男を余所に、ルナが持ってきた紙を引っくり返してみると、短いメッセージが書いてあった。
『welcome.Mr.GINRYU
Come here if you have resolution.
Moon lead you to my room.
from knight』
──ようこそ、銀龍。覚悟があるなら、ここへ来い。月がお前を、私の元へと導いてくれる。
・・・knight、か。