牙龍 私を助けた不良 上



「人生には、分岐点がある。そして、未来にも更に事細かな分岐点がある故に、不確定な『未来』・・・ifの現実があるんだ」


「Ifの現実・・・」


「『明日』という未来は、『明日』になれば『現在』となり、明後日になれば『過去』となる」


「・・・どういうことだ?」


「着々と流れる時間の中で、あの子が『こうしたい』って決めたから」



歩夢の言葉に、戒希は不思議な感覚に捕われていた。時間と人生と、その価値は皆異なっている。


どんな未来もその時がくれば現在となるし、どんな現在も過ぎれば過去になるのだ。


・・・あの子が決めたこと。


彼女が犠牲者だと思いながらも止めないのは、彼女が決めた『彼女の未来』を不確定にしないため。


あらゆるモノにおいて価値観は、異なる。根本から違うのだ。



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