牙龍 私を助けた不良 上
──今でも鮮明に覚えているということのは、あの日のことが、それだけ記憶に焼き付いているということ。
景色も、音も。その場にいるみたいに覚えていて、三年前の12月24日を何度も繰り返しているみたいだった。
何となく気付いていた。
私だけが、『過去』にいつまでもすがってる。悲劇のヒロインぶってるだけ。自分のせいでって。
他人からしたら、何言ってんのコイツって思えるような考えで、いたかったのかもしれない。
でも、皆が私のせいじゃないって言う度に苦しくて、悲しくて、嫌だった。
私は、ひなたのことを過去にしたくないだけなのに。何で、皆はひなたのことを過去にしようとするの・・・?