牙龍 私を助けた不良 上
side:龍騎
「どうした、答えないのか?」
彼女は、全てを見透かしているかのように笑った。漆黒の瞳は、何を考えているか分からない。
手が震える。全体的に白い空間に、それが余計に映えて恐怖を感じる。
「怖じ気付いたのか?」
「・・・・っ」
「──所詮、銀龍もその程度か」
足を組んで、彼女はどこかほっとしたと言わんばかりの表情をした。それは、微かながら人間味を帯びていた。
「では、質問を変えよう。お前は、どうして凜華を助けたい?」
「・・・凜華は、俺を助けてくれた。だから」
「だから助けたい。そう言いたいのか?」