牙龍 私を助けた不良 上
可笑しそうにそう言って、彼女は溜め息を吐いた。
がっかりした、と言わんばかりの落胆したそれに、嫌でも過剰に反応してしまう。
「お前がこれから知ろうとしていることは、そんな甘いモノではない」
「理由が不十分だって言いたいのか」
「・・・理由ではないな。お前の『覚悟』を聞きたいのさ」
姫蝶は当たり前のようにそう言った。理由ではなく、覚悟を聞きたいと。
「理由の本質というのは、物事のそこまでに至った事情やそのわけのこと。それは、私の聞きたいことではない」
「・・・・・」
「お前は『助けてくれた』から『凜華を助けたい』と私に言ったが、それは理由でしかない」