牙龍 私を助けた不良 上



可笑しそうにそう言って、彼女は溜め息を吐いた。


がっかりした、と言わんばかりの落胆したそれに、嫌でも過剰に反応してしまう。



「お前がこれから知ろうとしていることは、そんな甘いモノではない」


「理由が不十分だって言いたいのか」


「・・・理由ではないな。お前の『覚悟』を聞きたいのさ」



姫蝶は当たり前のようにそう言った。理由ではなく、覚悟を聞きたいと。



「理由の本質というのは、物事のそこまでに至った事情やそのわけのこと。それは、私の聞きたいことではない」


「・・・・・」


「お前は『助けてくれた』から『凜華を助けたい』と私に言ったが、それは理由でしかない」



< 427 / 476 >

この作品をシェア

pagetop