牙龍 私を助けた不良 上
『誰かを救う行為』に至るまでには、理由以上に強い思いである覚悟が在るのだと言う。
「誰しも、世の為・人の為」と言ってはいるが、そのための行為をする人間がどれくらいいる?」
そういう人間が少ないことが、理由が理由で止まっているからだ。
余程の何かがないと、他人のために何かをする、ましてや救うことなんて出来るわけがない。
「だからこそ、聞いておきたいのさ。お前がどうして凜華を、助けたいと思ったのか」
「俺は──」
言い掛けて甦ってくるのは、凜華との記憶。
『大切な物を守ろうとする心を持ってる奴の方が本当に『強い奴』だ』
『いつか、決心できたら、ちゃんと話すよ』
『ありがとう・・・』