牙龍 私を助けた不良 上
行きたくない。
もう二度と、あの世界には戻らないと──緋色を纏わないと決めたんだ。
あの子に誓ったことを、破ることは絶対にしたくない。いや、絶対にしないと決めたんだ。今、緋姫凜華として生きるのだと。
「行かない。不良の巣窟になんか行きたくない」
「困りましたね。来てもらえなければ、力付くでも連れていきますよ?暁も待ってますしね」
そう言って、志貴が脅してくるが気丈に睨み返す。でも、クスクスと黒く笑っている。
・・・付いて行くしかないか。
離してくれない双子、腹黒な副総長、睨んでくる幹部。