牙龍 私を助けた不良 上
混乱したように言う桃華に、いつの間にか動くようになっていた身体が強張る。
脳内で鳴り響いている警鐘が、ぐるぐる、ぐるぐるして、頭が痛くなる。
「私の、せいでっ・・・」
「桃華っ、止めろ!!」
私以上に困惑していた彼──戒希が、声を荒らげて桃華を私から引き離した。
「今はダメだって、あの人たちも言ってただろ!?」
その間にも、私の頭の中では桃華の言った言葉がぐるぐるしている。
ずきり、と左二の腕が痛んだ。
何も考えられなくなって、気付いた時には、聞こえる声を背に走り出していた。