牙龍 私を助けた不良 上
side:龍騎
「──これが、私の知っていることの全てだ」
姫蝶は、静かに閉じていた瞳を開いた。その瞳には、悲しみと怒りが揺らいでいた。
たまに見ていた凜華と同じ瞳で、この人も同じ様な人間なのだと思った。
「今回の件、元々は私達が処理すべきである大きな問題だったんだ」
だからこそ、凜華を苦しめた自分が許せない。姫蝶は、そう言った。
事情を聞いた今だから分かるが、knightはかなり複雑なメンバーがいるらしい。
あの男も、knightにいたことのある奴だったらしい。何の因果だろうかと思った。