牙龍 私を助けた不良 上
雨音、涙を謳え
* * * * * *
冷たい雨が降る音を聞きながら、シルバーダビーのマンチカン・ミライが、主人のいない部屋で外を眺めていた。
定期的に、やって来ている凜華の伯母である華が来ているが、主人と会えていないからか心なしか元気がない。
そんな時、家の玄関が開くような音がした。
いつのものようにミライが玄関へ行くと、そこには主人である少女がびしょ濡れで立っていた。
『ミー・・・』
「ミラ、イ・・・?」
主人が抱き上げてくれるが、その身体は冷たく震えていて、ミライはか細い声で鳴いた。