牙龍 私を助けた不良 上
そんな時、またも玄関から扉の開く音がした。
少女は気付いてないようだが、ミライはそれに気付き一目散に走っていく。
玄関へ行くと、そこには定期的にやって来ている華がいて、走って来たミライに驚いていた。
「ミライ、誰かいるの?鍵が開いてたんだけど」
『ミーッ!』
靴を脱ぎながらミライを見た華は、その足元を見てピタリと動きを止めた。
点々と廊下にある雫と、それに混じる微かな紅いものと──浴室がある方から聞こえるシャワーの音。
ミライが一際大きく鳴いて、そこに向かって走る。華は我に返ると靴を脱ぎ捨てて、その後を追う。