牙龍 私を助けた不良 上
抱き上げると、バスタオルを他にも三枚程持って、リビングに直行する。
凜華を下ろすとタオルを一枚敷いて、座らせる。シャラッと、凜華の胸元でネックレスが揺れた。
ミライのために、空調を整えているので部屋は温かいが、凜華はまだ震えている。
華は彼女をしっかり拭くと、使っていないタオルを巻いてやり、また抱上げて彼女の部屋に向かう。
その隣を、ミライがトタトタと小走りで付いて行った。
彼女の私室は、タイマー式の空調が付いているから温かく、華は箪笥から服一式を見繕うと凜華に渡した。
「凜華、ひとまず服を着なさい」
「・・・ん」
「紅茶を淹れてくるから、着たら待ってて」
「・・・ん」
俯いたまま顔を上げようとしない凜華に、華は不安を覚えながらもそこから離れた。
雨の降りしきる音が、あの日と似ているような感覚もしていた。