牙龍 私を助けた不良 上
「──・・・」
懐かしさに目を覚ますと、視界に私を見ているミライの姿が写り込んだ。
『ミィー』
こてんと首を傾げる姿に、思わず笑みが零れ、手を伸ばしてミライの頭をよしよしと撫でた。
頭元においていた時計を見ると、時刻は現在21時43分。
最後に時計を見た時は、19時頃だったはず。それを考えると、間違いなく2時間くらいは余裕で寝ていたことになる。
全身を襲っていた倦怠感が無くなって、落ち着いているらしいと、他人事のように思っていた。
口から重い溜め息が零れて、薄暗い部屋に溶けた。