牙龍 私を助けた不良 上



仲間の中でも、一番長くつるんでいる幼馴染みは、何かに気付いたのか意味ありげに上を見る。


冷たい雨粒が、地面に打ち付けられて跳ね上がる。何故だか分からないが、既視感を感じた。


・・・泣いて、いるのだろうか。


雨は、嫌なことばかりを思い出させる。黒いインクが、水を濁らせるように、じわじわと。



「雨、止まないな」


「せやな」



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