牙龍 私を助けた不良 上
根本的に・・・?
人間ってのは、そんなに簡単には変わらないんじゃないのか。暁の言いたいことが分からない。
降りしきる雨が、行き交う人の姿を隠すように霧と化し、裏町を沈ませる。
沈黙が、耳をつんざく。
「龍騎は・・・何や、難しゅう考えとるみたいやけど。──俺は、別にいいと思うで?」
「何が」
「直感で動いたらええやん。建前なんか何もいらへんやろ?」
真っ直ぐに、暁は総言いながら、雨に包まれた町並みへと視線を向ける。
その先にあるのは、裏町。数十年前から、牙龍が守り続けてきた町を、暁は真っ直ぐに見つめる。
「会いたいから会う、喋りたいから喋る、一緒におりたいからおる。・・・そんな単純な考えでも、ええやろ」