牙龍 私を助けた不良 上




元来た道を歩き県立病院の一般病棟に入る。階段を登り三階へ行くと、一番端の病室の前に立つ。


301号室。


二回ノックするけど返事はない。当然だよね・・・と思いながら扉を開けて中に入った。


白い殺風景な部屋。


特有の臭いがする病室のベッドには一人の少女が静かに、眠っていた。


赤っぽい茶髪。まつげは長く、色白な小顔にピンクの唇がはえる。布団から覗く肩や手足は華奢。私とよく似た背格好。



「久し振り、桃華」



彼女は緋姫桃華(モモカ)。


3年前から眠り続けている私の双子の妹。入院してから、一度も目を覚ましたことはない。




< 69 / 476 >

この作品をシェア

pagetop