牙龍 私を助けた不良 上
私は、アイツの死も桃華が目を覚まさないことも受け入れられなくて、自殺をしようともした。
でも、死ねなかった。
私の命はアイツの残したモノだから。桃華は生きているんだから。そう思いながら、必死に生きた。
「桃華・・・」
ねぇ、桃華。私ね、アイツが死んだことをやっぱり信じたくないよ。あんたが目を覚まさないことも。
全部夢ならいいのに。
でも、現実は甘くないんだ。ほらだって、こうして桃華は眠ってるんだもん。
「目を覚ましてよ、桃華・・・」
アイツみたいに死なないよね?
泣きたい。怖い。私が、一番大嫌いなこと知ってるでしょ・・・?
「独りぼっちにしないで・・・」
微かな風が吹き込む静かな病室に、涙混じりの私の声が響いていた。