牙龍 私を助けた不良 上
銀龍、その瞳に
side:龍騎
──お前、どうして戦ってる?
昔、荒れていた俺にそう言った奴がいた。
あの頃は理由もなくひたすら拳を奮い、ケンカ三昧だった。牙龍の前総長が手を付けられない程だった。
じいちゃんからの遺伝で水色をした瞳の俺。睨めば男は従ってきた、黙ってれば女は寄ってきた。
それは、容姿と瞳のせい。俺自身の力とかじゃなくて、全部外見によるものだった。
木藤龍騎って人間を見てくれてる訳じゃなくて。だから、ケンカして見せつけたかったんだと思う。
今思うと、くだらねぇけど。そう思えるのは、あの人のお陰だと思う。