牙龍 私を助けた不良 上
俺は女に向かって拳を奮った。だが、女は素早く交わして俺の腹に拳を放った。
・・・重いっ。
もろに喰らった俺は、そのまま崩れた。女はそんな俺の前にしゃがんだ。
「まぁ、落ち着け」
俺は起き上がって女をマジマジと見た。──視界に入ったのはキレイな緋色の長髪。
肌は白くて、唇はピンク。睫毛が長くて、瞳は二重で──俺と同じ水色。
「・・・・・」
「お前さ、せっかくキレイな目ぇしてるのに勿体ないな。・・・それ、私と同じで自前だろ」
女は確信したように言った。ハッと瞳を見る。カラコンじゃない。コイツもちゃんと自前だ。