牙龍 私を助けた不良 上
「そのネコがミライ?」
「そうだけど」
大雅が笑いかけると、ミライはあくびをしてポケットの中に引っ込んだ。どうやら眠たいらしい。
ふと何気なく、ヘッドフォンに触れる。木藤が、一緒に居る時は取れって言ったから取ってたけど、やっぱりないと落ち着かない。
そんなことを考えながら、大雅がバイクをいじっている様子を見ていると。
「凜華ちゃん、ちょっとええかな」
暁が二階から降りてきて、私にそう言った。小さく息を吐いてから暁の所に行き、一緒に二階に上がった。