牙龍 私を助けた不良 上




そんな私と男を見て、桃華と戒希が笑う。バカにしたような笑いではなく、子供を見守る親のような笑いだった。


そして、桃華が、



『何だかんだで、仲良しだよね』



そう言って笑った。





──永遠だと思っていた。


桃華と戒希と──アイツが居て。


当たり前になってたから。素直に言えなかったけど、あの頃は、楽しくてしょうがなかった。


それなのに──。


幼かった私達にとって、世界というモノは甘くなんてなかった。


私の心を、居場所を、仲間を、妹を一瞬にして傷付けていった。──大切な人までをも。


そして。


深い傷を私に刻み付けた。それは、目に見えない傷で、今も私を蝕み苦しませる──心の傷。




『・・・をか・・て、・えし・・!!!』


『お前・・ね・、・・った・・な。』




< 94 / 476 >

この作品をシェア

pagetop