牙龍 私を助けた不良 上
そう思いながら首を傾げていると、部屋のドアが開いて、誰かが入ってきた。
「起きたか」
入ってきたのは見慣れてきた銀髪の男・木藤だった。木藤はそのままベッドまで歩いてくると、私を見て少し目を見開いた。
そして。
「・・・悪い夢でも見たのか?」
「え・・・?」
「震えてる」
そう言われて、未だに震えていたことに気付いた。私は無意識に、手を爪が食い込むくらい握り締めていた。
震えるな。
泣くな。
"─"にすがるなっ・・・。
「・・・別に、何でもない」
「震えてるのにか?」
「私のことは気にするな」