牙龍 私を助けた不良 上
手を少し開いてみると震えは止まっていた。でも、爪をたてたからか数ヶ所だけ赤くなっていた。微かに痛むが、気にするほどではない。
木藤は納得してないような表情をしたが、身を翻して部屋から出て行った。私も後を追うようにベッドを降りた。
・・・あれ?
ベッドから降りて気付いたが、膝に居たはずのミライが居なくなっていた。
何処に行ったんだ、と首を傾げなからローファーを履いて部屋を出る。どうやら、私が居たのは仮眠室だったらしい。
向かいには幹部部屋がある。仮眠室のドアを閉め、向かいにある幹部部屋のドアを開けて中に入る。
すると。
『ミー、ミー!!!』
何かが顔面に飛び付いてきた。息苦しいと思いながらそれに触れると、ミライだった。