嘘カノ生活
5.荒れた過去と、想いと
「朝未、今日暇?」
「あ、今日は暇…」
5時間目が終わった学校。
前の席に座る夕菜が、教科書を片付けながら後ろを振り向く。
「良かったら、大学ついてきてくれない?」
「大学?」
「そ。ほら、駅の近くの文系大学」
「……え?」
それはまさに、間宮さんの通ってる大学。
「あたし、あそこ志望してるから。ちょっと覗きたいなって思って」
そういえばそうだ、と前に言っていたのを思い出した。
「まだ高2なのに、偉いね夕菜」
「"もう"高2"。朝未もそう言うの決めなさいよ」
「あー、うん…」
そんな風に、あまり気は進まなかったけれど、行き先が決定した。