嘘カノ生活
5.荒れた過去と、想いと
 
 
 
「朝未、今日暇?」

「あ、今日は暇…」

 
 
5時間目が終わった学校。

前の席に座る夕菜が、教科書を片付けながら後ろを振り向く。

 
 
 
「良かったら、大学ついてきてくれない?」

「大学?」

「そ。ほら、駅の近くの文系大学」

「……え?」 
 
 

それはまさに、間宮さんの通ってる大学。
 
「あたし、あそこ志望してるから。ちょっと覗きたいなって思って」

そういえばそうだ、と前に言っていたのを思い出した。




「まだ高2なのに、偉いね夕菜」

「"もう"高2"。朝未もそう言うの決めなさいよ」 

「あー、うん…」
 
 
 
そんな風に、あまり気は進まなかったけれど、行き先が決定した。
< 112 / 321 >

この作品をシェア

pagetop