嘘カノ生活
"そんな事が言いたいんじゃない"

そう言った後、俊介くんはあたしの手を離してまた横顔を見せた。
 
 
 
「確かに大学入っても女グセは治んなかった。けどSASAKI入って2、3週間したらあいつ」

「…?」

「俺に、"本気で好きな子できた"って言ってさ、今まで周りに居た女たち全員切った」

「え…」
 
  

あたしの驚いた言葉に耳を傾けて小さく笑った後、俊介くんは続けた。 
 
「俺も驚いた。でも、本当だったよ」

 
 
"切った"って事は、 
 
つまりは女の子たちで遊ぶのを止めた、って事ですよね? 
 
 
 
「それから一切女には手出さなかったし」

「でも、なんでそんな…」 
 


間宮さんがしたいこと、全然分からない。

誰かのため?


…他の、誰かの? 
 
 


「誰のためだと思う?」
 
「…他、の……誰か、ですか」
 
 
 
今までに彼女が居たことなんてあるに決まってる。

本気の恋の1つや2つぐらい、間宮さんだって…
 
そう思ってしまったら、息ができないくらい苦しくなった。 
 
 
 
「…他なんかじゃない」 

「え…」

 
「あいつをあんな風にしたのは、朝未ちゃんだ」

< 122 / 321 >

この作品をシェア

pagetop