嘘カノ生活
「あの、あたし…」




必死で言い訳の言葉を探しても、その言葉達はあたしの頭を通り過ぎていく。 

ぐるぐるとまわる思考回路に、間宮さんは割って入ってきた。

 
 
「ばーか、こんなとこで寝たら、また風邪ひくだろ」
 
 
入ってきたけどそれは、優しい笑いの含まれた言葉。

さっきまでのしかめっ面は消えて、怒ってるなんていえる雰囲気じゃない。 
 


 
「え…と、ですよね、あはは…」 
 
 
 
そんな間宮さんにどう接したら良いのか、あたしはなんとなく分からなくなってしまって。

曖昧な返事しか返せなかった。
 


「酒井さん、ちょっとこいつ借りてもいい?家まで送るから」 
 
「どうぞどうぞ。お好きなように」 
 
「は、ちょっと夕菜…」 
 
 
いつの間にか親しげになった2人に疑問を抱きつつも、あたしは間宮さんに腕を引っ張られベンチから立ち上がった。 
 
 
あたしの腕を掴んだまま、間宮さんは俊介君の方を向いていった。 


 
「あ、俊介、明日聞きたいことあるから」
 
「え、あ、おお…?」 
 
「うし、朝未行くぞ」 

「本当に行くんですか?!」

「当たり前だ」 
 
 
 
そう焦りながらも、さっき俊介くんから聞いた話を思い出して、あたしの頬は少し赤く染まった。

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