嘘カノ生活
「お前、俺に嘘なんかつけるとでも思ってんのかよ」


それでも、長年の付き合いのせいか、嘘はいつも見透かされる。
 
 
「信じろって!俺、彼女いるし!」

「彼女って…誰」

「え、あー…、うんほら!夕菜ちゃん!」
 
「酒井さん…、て…マジで?」
 

 
なんてつい、嘘を重ねる。

ああ、すまん夕菜ちゃん、と心の中で謝罪をした。

悪いとはわかっていても、壮を納得させるにはこれくらいしかない。
 

 
「本当に!この前お前と朝未ちゃんが帰ったあと、急に仲良くなっちゃって」


信じろやこの野郎、と祈るように壮を見ると、はあとひとつため息をついた。

 
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