嘘カノ生活
 
 
普段一人で喫茶店には入らないほうだし、かなり落ち着かない。

だけど家に帰る気分でもないし、行く当てもない。

仕方なく、というところだ。
 
 
 
それにしても。

気づかれてるなら尚更、離れなくちゃダメか。 

 
 
 
「…あ、こんにちは」
 
「へ?」
 
 
急に言葉が降ってきた。

聞き覚えのある声だと思ったら、そこにいたのは夕菜ちゃんだった。 
 

 
「あーどうも!久しぶりな感じだね」

「何日しかたってないですけどね」

「確かに。…ていうか一人?」

 
 
制服を着た夕菜ちゃん。

女子高生が一人で喫茶店ね。

 
 
「朝未にフられたんで」

そう冗談まじりで笑った。 

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