嘘カノ生活
壮にだって嘘はつけた。

なのに、彼女にだけは全部見透かされている気がした。

 
 
「けど俺がいくら思っても何も変わらないよ。それどころか、かえって気まずくなるだけだろ」
 
 
あんなにためらっていた言葉も、何故かすらすらと口からでる。

 
「だから頼む!なんでもするから」
 
「嫌ですよ」
 
夕菜ちゃんは俺が頭を下げてまでした頼み事を、さらりと拒んだ。 
 

 
「そんな理由で彼女になるなんてごめんです。朝未の二の舞になって心配かけたくないし」

「いや、でも…」 

「だいたい、好きっていったって、会ってからそんなに経ってないじゃないですか。顔で好きになったとかでしょ?」
 
 
メニューを開いて、注文を決めながら軽くあしらう様に彼女は言った。  
 
 
 
「…それは違うよ」  

 

そんなんだったら、とっくに朝未ちゃんの事こと諦めてる。

何の迷いもなく壮との友情を優先してるに決まってる。 
 
だけど、そんなんじゃないから。 
 
 

俺の重々しい空気が伝わったのか、夕菜ちゃんはメニューから俺へと視線を移した。

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