嘘カノ生活
去年の冬、だっただろうか。
俺は他の奴らより一足早く、指定校推薦で進路は決定していた。
それ以外は、"いつもと変わらない日"。
それまでは。
「コーヒーおかわりかがですか?」
腰をほどほどに屈めて俺に話し掛けたのが、朝未ちゃんだった。
そのときは名前すら知らなかったけれど。
「あ、どうも」
別に気にも留めていなかったそんな俺に、彼女は突然俺に顔を近づけた。
「ここの大学の方なんですか?」
「え?」
「あ、すいません。その資料に大学の名前書いてあったからつい」
と、朝未ちゃんは資料の左上に書いてある大学の名前を指差した。