嘘カノ生活
名前なんて今まで一回も呼んだこともないし、今更、壮平とか呼べる自信もない。 
 
それに、最後にいってた事、も。

 
 
「何、終わったの?」

「は、はい!」


 
さっきまであんなに普通にしてたのに、話し掛けられた途端どう接していいかわからなくなった。 

つい声が上ずってしまったあたしを変な目で見る間宮さん。
 


「なんだよ。それよか早くこっち来いって。勉強すんだろ?」 
 
「あ、はい…」
 
 

一人動揺していても何も変わる訳じゃないから、

あたしは仕方なしに間宮さんの方に言って、テーブルをはさんで向かい側に座った。

 

「なんでそこ?お前さっきまでここいただろ」

と、自分の横をポンポンと叩く間宮さん。 
 
そんな風に軽々しく言うけど、さっきあんなことを言われた状態じゃ、

そんな近くにいけるはずもない。 
 
 

「や、良いんです!こっちのが教わりやすいし…」
 
そう言って参考書を自分の方に向ける。

 
「ま、いいけど。じゃ、さっきの続きな」

間宮さんはテーブルの脇においてあった眼鏡を掛け直して、シャーペンを持った。
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