嘘カノ生活
前にも部屋に二人きり、なんて事はあった。

あの、雨のとき。

だけどそんなの風邪をひいたあたしには、二人きりとか、そういう事、とか…

考える余裕もなくて。

それに何より、告白するのに必死だった。 
 
 
 
だけど今はもう。 
 
付き合ってて、キスもして、

間宮さんは大学生だし、"そういう"事だってあったんだろうけど。

そしてあたしは、まだ、何も知らないわけで。

 
 
「はあ…」

 
名前で呼びたかったのに、愛してるって言いたかったのに。

こんなんじゃ、目もあわせられない。
 
 

 
「…聞いてんの?」

「わ!すいません…。ちょっと、考え事、です」

 
考え込んでるうちに、どうやらあたしは間宮さんの話を聞き流してしまったようで、怒られた。
 
 
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