嘘カノ生活

そのキスの後、体勢を起こして隣りあわせでベッドに座った。


「言っておきたいことがあるんだ」

 
いつになく真剣な眼だった。

 
 

「俺の…」

言いかけたとき、ドタドタと廊下を走る音が聞こえた。

その音が止まないまま、"ただいまー"と声がする。
 
 

「おねーちゃーん、いるー?」
 
三男の弟が帰ってきた。 
 

 
「わ…、弟帰ってきちゃいました」

時計を見ると、五時を少し過ぎている。


 
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