嘘カノ生活
8.それが意味するもの
あの日から、徐々に、徐々に。

間宮さんはあたしと連絡をとりたがらなくなった。 

直接そうは言わないけど、そんな雰囲気を感じさせた。


 
今まではいつものように学校が終わったら間宮さんが迎えにきて、バイトの日は一緒にバイト先まで行く。

それがない日はどこか出かけたりした。 
 
 
それがなくなってきたのが、1ヶ月を過ぎた頃。 
 
メールをしても返事は遅く、返ってきたとしても

"ごめん。また連絡する"

それだけ。 
 
 
ほんのたまに会っても間宮さんはどこか上の空で、5時過ぎには家へ帰らされる、そんな生活。 
 
 
 
それが何を指し示しているかなんて、わかっていた。

けれど、わかりたくなんてなかった。 
 
  

もう、好きじゃなくなった?

あたしの事なんか、どうでも良くなったんだろうか。

それしかもう、考えられない。 
 
 
他に、自分にとって都合のいい理由を探せば探すほど、最終的に行き着くのは、やっぱり"別れ"だった。
 
 
 
間宮さんにとってあたしはその程度の相手だった。

そういう事でしょう?


 
この事は夕菜にも、俊介くんにも言っていない。

心配をかけさせるだけだと思ったから、言わないでおこうと思った。

あるいは俊介くんはもう間宮さんから聞いて知っていて、

夕菜にも話しているかもしれないけど。 
 
それでも触れないでいてくれるのは正直ありがたい。 
 
 
 
信じたいけど、信じることが辛い、その相対する感情がどうすることもなく回っている。
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