嘘カノ生活
3時過ぎに着いた家には、誰も居なかった。

親はもちろん、弟たちも遊びに行っているんだろう。


あたしは1人、自分の部屋に入ると、着替えもすませないままベッドへ寝転がった。


 
寝ようと思って瞼を閉じてみたけれど、その裏に見えてくるのは、間宮さん。 
 
 

そのせいで、何度も泣きそうになった。

鼻はつんとして、目は涙の膜をはる程、涙はいつもいつも手前までやってくる。 
 
 
その度堪えるのは難しかったけれど。
 
けれど、泣いてしまったらもう、間宮さんとの別れを自覚しなくちゃいけないような気がしたから。 
 
 
  
 
「…ふりまわされてるのかな」


しんとした部屋で、独り言を言っても答えてくれる人は居ない。

そもそも、その答えは間宮さんしか知らないのだから。

 

…ひどく冷たくされて拒絶されるのと、こうして中途半端な状態と、どっちが辛いんだろう。

 
以前までは前者の方が辛いに決まっていると思っていた。

だけど今のあたしにしてみれば、中途半端な方がずっと辛い。
 
 
  
だけどよく考えてみれば、こんな風になるのは普通の別れ方の1種類に過ぎない。

音信不通になって自然消滅するカップルなんて、どこにだっている。 
 
あたしと間宮さんの場合もそうだっただけかもしれない。 
  
 
…それでも、信じたくないと思うあたしは、しつこいんだろうか。
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