嘘カノ生活
わかってる、わかってる。

あたしは、この人たちにとってただの暇つぶしだ。

面白がって遊んでいるだけだ。

そう思い込む。 
 
 
怖くない。

そう、思い込む。 
 
 

「どーする?」

女がそう言うと、男はわざとらしく手をあげた。


「俺ー、このコ超タイプ!」

「あんたこういうの好きなの?趣味悪ー」

 
声、会話。

何故か、恐怖感からか、聞くだけで少し震えて、足がよろついた。
 
怖くないと思うのは、もう無理だった。 
 
 
 
「趣味悪いとかひど!仲良くしようなー」

男はあたしに笑いかけると、片手であたしの腰をひきつける。 

「や…っ」

 
その途端、男の顔が近づいて、あたしの唇に男の唇が這った。
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