嘘カノ生活
マンションの陰に隠れたおかげで助かった。
けれど恐怖で足の力が抜け、その場にしゃがみ込む。
怖い。
気持ち悪い。
触られたところが、痛んだ。
けれどそれは肉体的にではなくて、精神的なもので。
肩の震えが止まらなくなっていた。
「…泣くな、あたし」
上を向いて、そう言い聞かせた。
声に出さないと、今すぐに泣いてしまいそう。
ぐしゃぐしゃに泣いて、"間宮さん"と叫んで、彼の所に駆け出してしまいそうだった。
今すぐ会いたいのに。
拒絶されることはやっぱり怖くて、自分から距離を縮められない。
もうしゃがみ込んでいるのも辛くて、地べたに腰を下ろした。