嘘カノ生活
 
マンションの陰に隠れたおかげで助かった。

けれど恐怖で足の力が抜け、その場にしゃがみ込む。 
 
 
 
怖い。

気持ち悪い。

 
触られたところが、痛んだ。

けれどそれは肉体的にではなくて、精神的なもので。
 
肩の震えが止まらなくなっていた。
 
 
 
「…泣くな、あたし」

上を向いて、そう言い聞かせた。


声に出さないと、今すぐに泣いてしまいそう。

ぐしゃぐしゃに泣いて、"間宮さん"と叫んで、彼の所に駆け出してしまいそうだった。 
 
 
 
今すぐ会いたいのに。

拒絶されることはやっぱり怖くて、自分から距離を縮められない。
 
 
 
 
もうしゃがみ込んでいるのも辛くて、地べたに腰を下ろした。
   
 

 
 
< 206 / 321 >

この作品をシェア

pagetop