嘘カノ生活
 
あたしを見下ろしていたのは、関谷だった。

この寒い冬の中何故かセーターを腕まくりしていて、息も少し上がり気味。

 
 
「あ、関谷…」

「うっす。どうしたんだよこんなとこ座り込んで」

「せ、関谷こそなんでそんな格好…?」
 
 

声は震えていなかっただろうか。

裏返らなかっただけ良かったと思った。
 

  
「俺の家、ここ通ると近いんだ。今まで公園でバスケしてて、あちーのあちーの」

「あ、そうなんだ…」

 
 
そういえば向こうの公園バスケをしている人が居るのを見たな、と思ってから急に安堵感がやってくる。

知り合いに会ったから?

けれどそれあたしにとって不都合だった。

 
 


< 208 / 321 >

この作品をシェア

pagetop