嘘カノ生活

「…とりあえず、立てるか?」

 
そのまま何も言わないあたしに、困ったように言う。 
 
そしてあたしの腕を掴もうと関谷の指先が少し触れた。 
  
 
 
 
その瞬間、身体の中の全部の神経がそこに集中するみたいに強張る。 
 
関谷にはあたしの制服で見えていなかっただろうけど、

腕には鳥肌が立っていた。 
 
 

 
 
 
「…やっ!」

びくつく身体と、拒絶する声。

 

怖い。

 
……怖い?

関谷なのに、知ってる人なのに。 
 
 
 
それでも触れられると先程の男の感触を思い出す。

一緒にするなんて、失礼だ。

それでも、それでも拒絶は生まれる。

震えは更に強まる。

 
 
「ご、ごめ…」

あたしは謝ることしか出来なかった。


ほら、関谷動揺してる。

当たり前だ、こんなの。


 
「ごめん…」

ごめん、ごめんね関谷。
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