嘘カノ生活


 
「なんで言わなかったの?」

「だ、だって心配…」

 
心配かけると思ったから、そう言おうとすると、夕菜はあたしの両頬を軽く叩いた。 
 
 
 
「それも関谷に聞いた。これ以上頼れないって言ってた事も」

「…ごめん」


 
こんなに怒っている夕菜を見たのは、中学校ぶりかもしれない。

だから目を合わせることが出来なくて、つい伏目がちになる。

本当は俯きたかったけれど、夕菜の両手であたしの頬は固定されて、出来なかった。 
 

 
「朝未、目逸らさない」

「は、はい…」

 

真剣な声に、ゆっくりと視線を夕菜に向ける。

相変わらず怒ってはいるけれど、すこし涙目なような気がした。

 

「…だって、迷惑じゃないの?いつもいつもあたしは夕菜ばっかり頼ってるのに」



夕菜は同い年なのにあたしよりずっと大人で、頼ってばかりいた。

だから今度の事は黙っておこうと思った。

 
それを言うと、夕菜は息を吸い込んでから、大きくそれを吐き出した。
 
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