嘘カノ生活
あたしの情けなさに、夕菜は怒ったんだろうか。
何も言わない。
自分でも痛いほどわかっている。
情けない事、弱い事くらい。
「朝未」
だから余計に怖くなって、夕菜の声に少し怯えて肩が震えた。
「あたし、気になることあるんだ」
けれど情けない、弱い、そんな予想とは違う言葉が聞こえる。
「…気になること?」
「ん」
あたしが聞き返すと、夕菜は首を縦に振る。
「言い訳かもしれないんだけどね。朝未と間宮さんの状態にあたしが気づけなかったの、理由があって」
「理由?」
「うん。連絡あんまり取れなくなったの、大体2ヶ月ちょっとくらい前でしょ?」
「うん・…」
もうしばらく会っていなかった。
こうなってしまっても、最初の頃はまだ顔をあわせていたのだけれど。
それもすぐなくなってしまった。
「それなのに、俊介が2週間ぐらい前に、言ってたから」
「…なにを?」
予想もつかなくて、ただ答えを待つ。
夕菜の言葉に、何故か心がざわつく。
緊張して、軽くにぎりこぶしをつくった。
「"壮のやつ、最近毎日朝未ちゃんと会ってるらしくてよく俺に自慢してくんだよね"って」
「…え?」