嘘カノ生活
10.繋がり
病院に到着してから間宮さんは直ぐに手術室へと運ばれた。

そして、手術中の赤いランプが点灯してから2時間が経過した。


今あたしはその部屋の前の椅子に、2時間前からずっと座っている。

隣に居るのは、俊介くんだった。

 
 
「朝未ちゃん、外暗いし帰らなくて大丈夫?心配なのはすげーわかるけど後は俺がいるし…」

 

何も喋らなかった俊介くんは、ふと心配そうにあたしを見た。

けれどあたしの中に今、"帰る"なんていう選択肢はない。

少しでも間宮さんの傍に居たいと思ったし、なにより家に帰ったところで一息つけるはずもないから。

 
 
「…大丈夫です。親には連絡しましたから」

「…そっか、わかった」


 
それを理解してくれたのか、俊介くんは頷いて前を見た。

 
壁に掛けてある時計の秒針の動く音が、時間を1秒ずつ知らせる。

1つの会話もない中で、その音だけが変わらず響く。

否、それに同調するようにあたしの心臓も脈を打った。
 


2時間前から、ずっと治まらない音。
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