嘘カノ生活


「んで、その矢先。祐平が事故にあったのは」

「……」
 
「しかも本来死ぬべきだったのは俺」

「え…?」

 
 
死ぬべきだったのは、間宮さん。

どういう意味なのかわからなくて、ただただ言葉を待つ。


死という単語を聞いて、脈拍が上がるのがわかった。

一昨日までは他人事のように思っていたそれも、昨日の事でそれは身近なものに思える。

 
 
「ニュースにもならないような普通の事故だけど。居眠り運転のトラックが俺に迫ってきた。それに祐平が身を呈して俺を助けた」



淡々と言葉を吐き出す。

あまり話したくないに決まっている。

間宮さんは最小限の言葉を搾り出す。


 
"本来死ぬべきだったのは、俺"

それをあたしはようやく理解した。
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