嘘カノ生活
 
「…即死だって」


 
益々手に力がこもる。

けれどもう、痛いだとかそんな事どうだって良かった。

その声も震えている。

ほんの僅かにだったけれど、震えていた。
 
 
 
「何が起こってんのとか、全然わかんなかった。ただ気づいたら後ろはもう惨劇。
 沙織さんが血まみれの祐平に泣きついてて、周りの人も大騒ぎで、さ」

「……」

 
 
きっとそれはその場に居なくちゃわからない光景。

想像しようと思うだけで頭が痛くなった。
 

あたしも間宮さんもしばらく何も喋らなくて、沈黙が流れる。
 
何も言葉が出てこない自分に嫌気がさす。

あたしはそう思いながら目を伏せた。

 
もしもあたしがその場に居たらどうしていただろうとか、それさえも予想がつかない。

もしも自分の弟妹が、自分を守るために死んでいったら?

そんな予想、つく訳もない。
 

寧ろ、それならいっそ自分が。

そう思ってしまう。

 
間宮さんも同じだったんだろうか。

そう考えるともう俯く事しか出来なかった。
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