嘘カノ生活
 
「でも、その時俺は自分が祐平を殺したんだって思ってて。俺がいなかったら今沙織さんと祐平は幸せに暮らしてて。
 …沙織さんに、悲しい顔させなくてすんだのに、とか頭の中がぐちゃぐちゃで」 
 
 
 
それからしばらくして、沙織さんは精神面が崩れてしまったと間宮さんは言った。

ひどく衰弱して、沙織さんの家に行ってもドアを開けてくれない。

電気もついてない。

そんな日が続いたと。 
 
 

「やと会えた時、沙織さん俺を見て"祐平"って呼んだ」

「え…?」

「わかんないけど。それから、俺をそう呼んだ」



それが錯覚からなのか、ただの皮肉なのか、分からなかったけれど。



「俺に祐平の面影を感じて、そう呼んだのかな。突然頻繁に連絡を取り合うようになってさ。
 どうすれば良いのか判断がつかなかった」

「……」

「ただ、高1で、本当考え方とか子供で。
 沙織さんがそれで良いならとか馬鹿な考えしか浮かばなかった」
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