嘘カノ生活
あたしが口を紡ぐと、間宮さんは苦笑いを浮かべる。

そして控えめな声を出した。

 

「ん、沙織さんは悪くないんだ。俺が始めた事だから。…って。今は思えるのに」



間宮さんは大きく息を吐いた。

今は思えるけれど、昔は、違った?

そういう意味だろうか。

 
 
「高校生のくせして頭ん中小学生みたいだったな、俺。
 勝手に自分で始めた償いで沙織さんは元に戻ったのに、俺はもう必要じゃなくなったのに。
 それが悔しくて、寂しかった。
 もうどうでも良いやって、全部諦めた」



間宮さんは、それから女癖が少しずつ悪くなっていったと言った。

元々モテる要素は持ってたんだ。

そう言って笑ったけれど、そんなの、無理矢理にしか見えなかった。
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