嘘カノ生活
間宮さんは、それから沙織さんとの連絡は絶ったと言った。

普通の高校生活に戻って、普通に過ごして。

1つ違うのは女癖の事だけだったと。



「たまに母さんから沙織さんの事を聞くこともあったけど、曖昧に返して、考えないようにした」

「忘れたかったんですか…?」



おずおずと訊ねると、間宮さんはふと笑った。



「それもあったし、あとは罪悪感かな。俺がめちゃくちゃに壊したから。じゃあいなくなれば良いんだって」

「罪悪感…」

「ん」

 

あたしは間宮さんのその答えに黙って頷く。

話はそのまま続けられた。

 
 
「そのまま、会わないまま大学生になって、お前に会って。そんで付き合い始めた」

 
 
最初は嘘の彼女だったけどな、と間宮さんはくしゃっと笑う。


正直、あの頃は間宮さんはただのふざけた人だと思っていた。

勝手に人を彼女にしたり、

勝手に学校に入ってきたり、

勝手にキスしてきたり。

勝手な事ばかりするから、そういう間宮さんの裏側なんて全然見えなかった。

全然分からないから、あたしが間宮さんを変えた

なんて俊介くんに言われても実感がなくて。
< 278 / 321 >

この作品をシェア

pagetop