嘘カノ生活
間宮さんはいつだったかな、と首を傾げた。
そして思い出したように喋りだす。
いつの間にか手は離れていた。
「俺が朝未の家行ったちょっと前くらい。どこで知ったんだか、俺が誰かと付き合ってるのを戒めるメールが来た」
今は社会復帰できる程体調も良くなった沙織さんは、同じ市内で1人暮らしをしているらしかった。
だから偶然あたしと間宮さんが一緒にいるところを見られたのかもしれない。
「あたしは今も1人なのに、壮平はどうして他の女といるの、みたいな内容」
それは多分皮肉だった。
間宮さんのせいで沙織さんは恋人を失ったのに、よく恋人を作ってそんなに悠々と暮らせるものだ、と。
けれどあたしはそれはただの我侭なんじゃないかと思った。
自分の不幸をだしにして他人にまでそれを強要する事が。
けれどそれは言わずに黙っていた。
そんなあたしの表情を察したのか、困ったように笑う間宮さん。
「そりゃ勿論お前と別れる気はなかったけど。
俺の家にまで押しかけて脅されたら反論はできないだろ」
「脅され…?」