嘘カノ生活
「あ、あの、点滴してるし危な…」
「俺が嫌だったんだよ」
「え?」
間宮さんは驚いているあたしをよそに先程の話を続けた。
体温が伝わってきて心臓は高鳴ったけれど、必死で話に耳を傾ける。
「別れるっていうか、音信不通にした事自分で認めたくなくて、元に戻れるまで誰にも言わないでおこうって思った」
「間宮さん…」
「すげー自分勝手。お前不安にさせてたのに俺自分の事ばっかり」
「……」
「ごめん」
掴まれていた手に熱がこもる。
至近距離にある間宮さんの胸が大きく脈打っている。
それはあたしも同じだ。
あたしは静かに間宮さんの肩に置いていた手を首に回して軽く抱きしめた。
「それなら、あたしも同じです」
「同じ?」
「…もしかしたら別れなくちゃならないって思っても、認めたくなくって、夕菜にもみんなにも内緒にしてました」
「……」
「だから、同じです。」
あたしがそう言うと、間宮さんは抱きしめる力をさらに強める。
顔は見えないけれど、その体温で照れているのがわかった。
「もう、絶対不安にさせない。ごめん」
「…はい」
そう言ってあたしも力を強めて、確かめ合うように抱きしめあった。