嘘カノ生活
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数日後、あたしと夕菜は間宮さんの病院へと来ていた。
中庭がすごくきれいで、多くの患者さんが外へと出ているのを見る。
間宮さんの病室まで向かっている途中だった。
「あの人、1発ぐらい殴って平気?」
「え?!」
顔を中庭に向けていたあたしはぐるんと顔を夕菜の方へ向ける。
話題に間宮さんが上っていて、そのタイミングで「あの人」と言われれば、間宮さん以外にいない。
すると夕菜はけろりとした顔で笑った。
「冗談」
「夕菜が言うと冗談に聞こえないよ…」
「まあ、良いなら殴るけどね」
どうも夕菜は怒ってるようで。
学校で、夕菜に間宮さんが帰ってきたと説明すると不機嫌そうに「良かったね」を口にした。
怒るのも何となくは分かるけれど、
事情を話さなくちゃいけないと思って今日一緒にここへ来ることにしたのだった。